ある日、鏡の前で見つけた「小さな変化」
ある日、ふと鏡を見た瞬間に気が付きました。後頭部にぽっかりと髪の毛がなくなっていることに。「もしかして、円形脱毛症?」そんな疑念がよぎり、慌てて触れてみると、その部分だけつるんとした感触がありました。その時の胸のざわめきは今でも忘れられません。
次々と広がる脱毛 – 不安と焦りの日々
最初の1か所が見つかった後、しばらくしてさらに他の場所にも同じような抜け毛が現れました。気が付けば数か所に広がり、鏡を見るたびに胸が締め付けられる思いでした。このまま全ての髪が抜けてしまうのではないかという恐怖が、常に心の中にありました。
すぐに皮膚科を受診しましたが、診察中も「なぜ私が?」という疑問ばかりが頭を巡ります。しかし、先生は原因には触れず、「治療に専念しましょう」とだけおっしゃいました。その言葉を信じ、私も前を向いて治療を受けることを決意しました。
重なるストレス – 家族と私の負担
この頃、私の生活はストレスの連続でした。義理の両親の介護、主人の持病の悪化、そして自閉症を抱える子どもの日々のサポート。時間にも、心にも余裕がなく、自分自身をケアする暇さえありませんでした。
「髪が抜けるのはストレスのせいかもしれない」と思いつつも、目の前の課題をどうにか乗り越えようとする毎日。自分の不安を家族にぶつけたくなくて、心の中に閉じ込めてしまうことも多かったです。
治療の道のりと回復の希望
治療は思ったよりも時間がかかりました。皮膚科に通いながら、少しずつ症状が改善するのを待つ日々。「いつ元に戻るのだろう?」という不安と、「必ず良くなる」という希望を抱えながら、地道に治療を続けました。
ようやく2年が経ち、抜けていた髪の毛が元の状態に戻りました。その時、心の底からほっとした気持ちとともに、「もう少し自分の心を大切にしよう」と思えた瞬間でもありました。
支えになった家族の存在
この経験を通じて、私を支えてくれたのは家族の存在でした。忙しい中でも、家族の励ましや気遣いが私の心の支えになりました。やはり家族がいるからこそ、乗り越えられたと思います。
同じ悩みを抱える方へ
円形脱毛症は、体だけでなく心にも影響を与える病気です。しかし、治療を続ければ必ず回復の道はあります。もし同じような経験をしている方がいれば、「一人で抱え込まないで」と伝えたいです。家族や専門家に頼ることは、決して弱さではありません。
私自身、今では髪が元に戻り、心も少しずつ安定しています。この経験を通じて、自分を大切にすることの重要性を学びました。もしあなたも似た状況にいるなら、必ず光が見える日が来ると信じてください。