「この人と結婚して大丈夫かな?」
そんな不安を抱えたまま、私は新宿の母の元を訪れました。
当時、新宿の伊勢丹本店の横で占っていた新宿の母。その人気はすさまじく、朝から長い行列ができていました。私も朝早くから並び、ようやく占ってもらえたのはお昼の1時ごろ。待っている間、何度も心が揺れました。「本当に占いで決めてしまっていいのかな?」「こんなことで人生を左右されるなんて、どうなんだろう?」でも、迷い続けて何も決められない自分がいることもわかっていました。だからこそ、誰かに背中を押してほしかったのです。
やっと順番が来て、私は緊張しながら占ってもらいました。すると、新宿の母はじっと私を見つめ、こう言いました。
「自信がないから迷うの。でもね、踏み出してみないとわからないのよ。」
まるで私の心の中を見透かされているようでした。私はもともと慎重な性格で、大きな決断をするときほど怖くなってしまうタイプ。でも、新宿の母の言葉はまるで「それでも大丈夫」と言ってくれているように感じました。
私は意を決して、「この人と結婚して幸せになれますか?」と聞きました。
新宿の母は私の手を取り、しばらく静かに考えた後、穏やかに言いました。
「この人との結婚、悪くないわよ。でもね、一番大事なのは、あなたがどうしたいか。」
「どうしたいか?」その言葉にハッとしました。私はずっと「結婚していいのかどうか」ばかり考えていて、「自分が本当はどうしたいのか」については向き合っていなかったのです。
「あなたが決めた道なら、それを正解にすることはできる。」
その言葉が、私の背中をそっと押してくれました。新宿の母の前向きな言葉は、迷いの中にいた私の心に深く響きました。そして、私は自分の気持ちに正直になろうと決めました。
占いで決めた結婚、でも本当に大事だったのは…
結局、私はその後結婚を決意しました。もちろん、結婚生活は占いだけで決まるものではありません。楽しいことばかりではなく、大変なことや思い通りにならないこともたくさんあります。それでも、あのとき新宿の母に言われた 「踏み出してみないとわからない」 という言葉を思い出すたびに、「この結婚を正解にするのは自分次第だ」と前向きな気持ちになれます。
「そんなんで決めたの?」と笑われることもあります。でも、私にとっては 「そんなんだからこそ、決められた」 のです。
結婚してから、ふとした瞬間にあの日の言葉を思い出します。喧嘩をしたとき、不安になったとき、ふと寂しさを感じたとき——そんなときこそ、「この道を正解にするのは私次第」と自分に言い聞かせることができました。そう思えることで、目の前の現実と向き合い、前を向いて進んでいけたのです。
人はときどき、ほんのちょっとした後押しがあるだけで、大きな一歩を踏み出せるものなのかもしれません。あの日、新宿の母に占ってもらったことは、私にとってまさにその一歩でした。
人生に絶対の正解なんてない。でも、自分で選んだ道を大切にすれば、それがきっと正解になっていく。そう信じて、今日もまた一歩前へ進んでいこうと思います。